「たたら製鉄」に出会わせてくれたのは、芸大生でした。鍛冶屋になって30年以上経ってますが、見たことがない知らない世界でした。知ろうとしたこともありませんでした。
たたら製鉄は古来より一子相伝であったために数少ない文献の記述でその概要が知れるのみであり、詳細な作業方法や手順までは記録に残されていない。本来、操業は約70時間中断なく行われるそうだが、約5時間でできる簡易な装置を作り、2018年12月9日(日)にチャレンジしました。
簡易たたら製鉄炉の名は「山吹」といいます。芸大生に名付けてもらいました。たくみの里への山道の途中にある「山吹橋」からとりましたが、私はその橋の名前を知りませんでした(笑)。しかし、その山吹という名が後に繋がります。文献を調べていると、「砂鉄を投入し木炭を焚いて、たたら炉の温度が上がり、ケラ(たたら炉の底にできる鉄塊)ができるころには炎は山吹色に高く輝く」とありました。山吹色の炎と焼けてピンクに輝く炉の土は写真でも言葉でも伝えられない、それはそれは美しくキラキラ輝く色でした。
実は2018年8月に1回目のチャレンジをしていて失敗に終わってました。そんな簡単なことではないのはよくわかっていましたが、成功させたい思いは凄く強かった。出来た黒い塊を切って見えた鉄は今まで見たことがない輝きを放っていて感動しました。小さな塊しかできなかったけど、ゼロではなかったことが凄く大きい。
次に繋がる1歩。その先を見てみたくなった。
京都造形芸術大学の卒業制作展を見に行ってきました。たたら製鉄にチャレンジできたこと、卒業制作展を見に大学に行けたこと、本当に良い思いをさせてもらった。よくうちに辿り着いてくれました。
展示に思いの詰まった言葉があったので以下に記します。
2018年「ゼロからのものづくり」をテーマに砂鉄から釣り針を作った。それからものを作ることと自然界とのつながりに気づかされ、そのことに気づく人はどれくらいいるのかと思い始めたのが今回のプロジェクト「MINING-マイニング」を行うきっかけだった。機械化が進み消費社会が当たり前になってきている今、生活の中で自然の持つにおいや形、色などを感じることは難しく、作る人と消費者の距離も遠い。そして作ることの意味は消費者に奪われたようにも感じる。
「掘る(マイニング)」という行為を通して人の生活に近い自然素材、工業化以前とその後の製造方法などのリサーチと実験を繰り返し、今の社会を見直していきたい。

素材として選んだのは銅鉱石・砂鉄・合成ルビーの3つ。
誰もが知っている「銅」は人類が初めて手に取った金属鉱石と言われている。銅線・銅メダル・10円玉などでよく知られている銅は大昔から私たちの生活水準を上げる役割を果たしてきた。だが、銅鉱石のある鉱山や形、色そして硫黄の匂いがすることを知っている人はどのくらいいるだろうか。

たたら製鉄は聞いたことがあるだろう。砂鉄と木炭を使った古い製鉄方法で日本の「鉄」を支えてきた。代表的なのは日本刀だ。でもそれが一家相伝の技術であるため、記録が少ないことや神話との結びつきがあることを知る人は少ないと思う。

本来なら自然の中から掘り出していたルビーを今では部屋の中で、化学薬品を使って電子レンジで作ることができる。技術の進歩によって同じものを作れたとしても「合成ルビー」と「天然のルビー」では価値が違うことに気づかされる。

機械化により生産性や私たちの生活が良くなったことは決して悪いことではないが、モノに対する価値が薄くなっていることは無視できない。地球上に存在する把握できないほどの資源は無限ではない。目の前の出来事ばかりに気を取られ、過去を忘れて未来を見て見ぬふりをしている。過去があるから現在があるが、現在が過去になった時、未来はどんな形か想像してみてほしい。
 ~京都造形芸術大学 中川明衣~ 
次回、2019年4月27日(土)に山吹2号でたたら製鉄をやります。たたら製鉄の他に鍛冶屋の火造り体験(先着10人)や直径107センチの大鍋で焼きそば、災害用ストーブの実演展示などもやります。是非、見て知って体感してください。詳細は近日当サイトで案内します。
もどる